カヤックフィッシングをしていて気になることがあります。それは「自分の存在がどれくらい周囲から見えているのか」ということ。
カヤックは小さく、海面に浮かんでいると遠くからは意外なほど見えにくいものです。
私は普段からカヤックにフラッグを立てています。なるべく目立つように高さも出しているのですが、それでも「本当にこれだけで大丈夫なのかな」と思うことがあります。
というのも、以前の釣行で漁船がかなり近くまで接近してきて、ヒヤッとした経験があるからです。
そのときは、こちらの存在に気づかれていなかったのではないかと思うほど、船が近くまで来てから慌てて進路を変えていきました。
もちろん、相手の状況や視認性など、いろいろな要因があるので一概には言えませんが、カヤックが海上で「目立たない乗り物」であることは間違いありません。
そこで今回は、普段のフラッグに加えて、レーダーリフレクターも取り付けてみることにしました。
海上保安庁も推奨するレーダーリフレクター
海上保安庁では、小型船舶などが周囲から発見されやすくするための安全対策として、レーダーリフレクターの設置を紹介しています。
レーダーリフレクターは、レーダー波を反射しやすくするための器具。
目で見て「キラキラ光る」というものではなく、船舶のレーダーに自分の存在を捉えてもらうためのものです。
詳しい構造や作り方については、海上保安庁の資料でも紹介されています。
海上保安庁「見えないカベに注意!」レーダーリフレクターの資料
もちろん、これを付けたからといって安全が保証されるわけではありません。
フラッグなどによる目視での視認性を高める対策と合わせて、少しでも自分の存在を知らせる手段を増やしておく。
そんな考え方で、今回はDIYしてみました。
材料はまさかのビール缶3本

今回の材料は、350mlのアルミ製ビール缶を3本。
今回使ったビールは、私の大好きなCOEDOの「毬花(まりはな)」。
毬花はIPAタイプのビールで、ホップの香りがしっかり感じられるのが特徴。
私はホップをたくさん使ったIPAが好きで、特にホップの香りが濃く、青々しい感じのするビールを、勝手に「草い」と表現することがあります。
もちろん褒め言葉です。
そんなお気に入りのビールを3本飲んで、空き缶を材料にする。
なんだかちょっと贅沢なDIYです。
……というより、DIYのために飲んだのか、飲んだついでにDIYしたのかは、よく分かりません(笑)。
ビール缶から90mm四方のアルミ板を切り出す

まずはビール缶を切り開いてアルミ板にします。
今回のポイントは、できるだけ大きくアルミ板を取ること。
最終的には90mm四方のアルミ板を3枚使用します。
350ml缶1本から、90mm四方の板を2枚取ることができます。
そのため、3枚作るだけならビール缶は2本でも足りる計算ですが、今回は加工時の失敗や予備も考えて3本用意しました。
缶を切るときは、できるだけ角ギリギリのところを狙ってカット。
使用した工具は、ダイソーで購入した金切りバサミ(万能はさみ)。
確か500円商品だったと思います。
あとは穴を開けるために電動ドリルを使いました。
特別な工具は必要ありません。
アルミ板のカール癖を直す

ビール缶を切り開くと、当然ながらアルミ板には丸まったクセがついています。
このままでは加工しにくいので、まずはカールを矯正します。
私は板を反対方向に巻いたりしながら、少しずつ平らに。
このとき、小さめの径の円柱状のものを使うと綺麗に矯正できます。
今回使ったのは、スティック糊。
身近にある円柱状のものなら、こうした作業に使えそうです。
アルミなので、無理に一気に平らにしようとせず、少しずつクセを取っていくのがポイントです。
3枚のアルミ板を加工する

アルミ板が平らになったら、90mm四方に切り出して加工していきます。(切り出し後に矯正をしても大丈夫ですが、ある程度平になっていないと切りづらいです)

ここからは、海上保安庁の資料に掲載されている図を参考にしました。
3枚とも同じ形です、それぞれ切れ込みの位置が異なります。

切れ込みを入れるときのポイントは、アルミ板の厚みを考えて、少し広めにしておくこと。
ただ切るだけだと、最後に3枚を組み合わせるときに入りにくくなります。
切幅に少し余裕を持たせておくと、組み立てがかなり楽になります。
また、折り曲げる位置には、あらかじめ筋を入れておきます。
私はカッターの後ろ側などについている刃ではない平らな部分を使って、折り位置を軽くなぞりました。(無ければ不要なボールペンなど、それほど鋭くない固いもので代用できます)
ただし強くなぞると折れやすくなるので程々に。
こうしておくと折谷ができ、アルミ板を内側に折るときに位置がズレにくく、比較的綺麗に折ることができます。
3枚を組み合わせれば完成

加工した3枚のアルミ板を、それぞれ組み合わせていきます。
切れ込み同士を差し込んでいくと、立体的な形になってきます。
そして3枚を組み合わせれば、レーダーリフレクターの完成。
平らなアルミ板だったものが、立体的な構造になることで、ちゃんとそれらしい形になります。
こういう「平面の材料から立体物ができる」DIYは、作っていてなかなか面白いですね。
固定はアルミテープではなくシリコンガン

組み立てた後は、接合部分を固定します。
海上保安庁の資料ではアルミテープを使う方法が紹介されています。
アルミテープなら簡単に固定できるので、こちらでも問題ないと思います。
ただ、今回は見た目を少しスッキリさせたかったので、私はアルミテープで固定する分は少なめにし、他はシリコンガンを使いました。
すべての部分をガッチリ固定するのではなく、3枚のアルミ板が組み合わさっている角のポイントだけをシリコンで固定。
これだけでも十分まとまりました。
アルミテープを表面に貼るよりも銘柄が隠れず、個人的にはこちらのほうが見た目もスッキリして好みです。
あとはシリコンが固まれば完成です。
お気に入りのビール缶が安全装備に変身

今回のDIYにかかった材料費は、ほとんど工具代だけ。
材料となったアルミ缶は、普段ならゴミになるものです。
それが3枚のアルミ板になり、最終的にはカヤックの安全対策のひとつになる。
こういう再利用DIYは、やっぱり面白いですね。
しかも今回は、私のお気に入りの「毬花」の空き缶。
「草い、草い」と言いながら飲んでいたビールが、今度は海の上で役に立つ……。
なんとも我が家らしい再利用です。
フラッグ+レーダーリフレクターで少しでも目立つカヤックに

カヤックフィッシングでは、釣果や道具ばかりに目が行きがちですが、安全対策も同じくらい大切だと思っています。
特にカヤックは小さく、海面からの高さも低いので、大型船や漁船などから見えにくい場面があります。
私自身、漁船が近づいてきてヒヤッとした経験があるので、それ以来「もっと目立つようにしておきたい」という気持ちが強くなりました。
もちろん、レーダーリフレクターだけに頼るのではなく、
- フラッグを高い位置に掲げる
- 明るい色の装備を使う
- 周囲の船の動きを常に確認する
- 無理な釣行をしない
- 船から見えにくい可能性を常に意識する
- 航行のルールを知っておく(右側通行など)
といった基本的な安全対策も大切。
今回作ったレーダーリフレクターも、その中のひとつ。
「自分はここにいる」と少しでも周囲に伝えやすくする。
そのための装備を、できる範囲で一つ追加してみました。
お気に入りのビール缶から作ったというちょっと変わったDIYですが、少しでも安全につながってくれればと思っています。
※今回のレーダーリフレクターは、海上保安庁の資料を参考に自作したものです。自作したものの性能や耐久性を保証するものではありません。
カヤックで海に出る際は、レーダーリフレクターだけに頼らず、フラッグなどによる視認性の確保や周囲の状況確認など、複数の安全対策を組み合わせることが大切です。


